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問題とは「第4回コラムの質問への回答」

改善の考え方の第4回目のコラム「問題とは」が経済情報に特化した ニュースキュレーションサービスのNewsPicksに転載されました。

https://newspicks.com/news/1266441

その際に、多くの方からご意見・ご質問がありましたので本ページでお返事していきたいと思います。

ご質問・ご意見を下さいました皆様ありがとうございました。この場を借りてお礼申し上げます。

※お返事にあたりましては、質問内容から想定した回答も含まれますので、意図と違う答えになっている可能性もありますが、この点についてはご容赦下さいませ


■前提
・問題とは何かについて考えるコラムの序章であること
・メーカーの管理者・現場のリーダーを対象としたものであること
・できる限り長文にならないようにしていること


■質問および意見への回答(項目が質問、その下が回答となっています)

1.“メノンのパラドクス”についてはどうお考えになるのか、ご見識を伺いたい

・あるべき姿を考え尽くしてわかった答えが「現状である」とい導かれれば、ご指摘の通り問題にはなりません。しかし、その答えが現状と乖離がある場合には問題として認識できるはずです
・「一方、あるべき姿が分かっていない者には、その「ギャップ」すら問題として認識できないはずではないか?」というご指摘に対してですが、おっしゃるとおり、あるべき姿がわかっていない、考えていない人にはギャップを認識することはできません。そのあるべき姿を考えぬく必要性を、当該コラムで説いております。
・「リアリティに欠けており、現実には成り立たないのではないか?」というご指摘についてですが、これこそが、理想(成り立つべき)と現実(成り立たない)のギャップ=問題であると考えております。
・また現実的にも、不満がなぜ生まれるか?ということを考えると、理想(あるべき姿と同義)と現実のギャップからあるからだと思います。


2.記事で書かれてある「問題=あるべき姿ー現状」という定義は、ノーベル賞も受賞したハーバードA・サイモンが『意思決定の科学』の述べていた定義と同じですね。

・おっしゃるとおりです。この定義のもと多くのビジネス書などでも、問題の概念として使われております。わかりやすくシンプルですので、当該コラムでも基本的な考え方として使っております。
・同コメントでご指摘されているように、ビジネス上では、あるべき姿の設定が容易にできないこともあります。「どこへ向かうべきなのか?」このシンプルな問いかけに対しても、複雑な変動因子の中で考えていくことになります。ビジョンを再構築するとなった場合、どのようなアプローチ方法があるのか?ここでも世の中には様々なフレームワークがありますが、本質的には「やりたいこと、成し遂げたいこと」になるのだと思います。


3.「あるべき姿」が理念的なものか具体的な姿なのかでまず変わる

・コラムの前提ではメーカーの管理職・現場のリーダーを対象としておりますから、ここでの対象も「具体的なもの」としています。
・あるべき姿を目標設定にすると間違えるとのご指摘についてですが、まず着想すべきは目的です。目的の定義がされていないまま、数値目標を設定しても、実現性が低すぎる、もしくは自社に適合しない、などの現象が生まれます。


4.あるべき姿を考えるのはもちろんのこと、そのあるべき姿を周囲にいかに伝えるかも重要ですね。

・おっしゃる通りです。当該コラムでは、あるべき姿を考えるところまでに文章を留めておりますが、ご指摘のとおり、周囲にしっかりと伝えていくことが重要です。「自分の理想は相手にとっても理想とは限らない」ということを管理職などのメンバーを牽引する立場にある人は理解しておくべきでしょう。

5.1次情報ばかり気にして全体像を把握せず、あるべき姿を捉えきれないトップには、何て言えば良いでしょうか?

・物事に集中しすぎて、俯瞰しきれていないタイプの方だと推察します。私どもコンサルタントはそういう外部からの客観的な指摘という役割を担いますが、部下の立場からトップに指摘するというのは現実的には容易ではありません。
・そういう時こそ良きフォロワーの重要性が問われるのだと思います。良きフォロワーとしてトップが見えていないものを補完する。具体的な状況がわからないので、明確な回答ができず申し訳ございません。質問者様は現在この役割を担われていることと思います。その役割ですと不満も多く募ると思いますが、世の中にはそういうタイプのトップも多いものです。今の姿勢を貫いていけば、トップより広い視点が身につくので、ご自身の成長につながります。

6.あるべき姿のジャッジによって、問題の大小が変わるってことか。ありたい姿とごっちゃにしないことがポイントなのかな。

・おっしゃるとおりです。設定したあるべき姿と現実との乖離の大きさで、問題の大きさ、量は変わります。ですから、あるべき姿は「どの時点で」という時間軸の設定もポイントになります。
・「あるべき姿」「ありたい姿」。私がコンサルティングで使うときは後者の「ありたい姿」を使いことが多いです。というのも、思考の枠を広げていく段階では、「〜でなければいけない」という制約表現よりも「〜したい」という願望に訴求したほうが、発散させやすくなるからです。

7.沢山問題がある!とだけ認識してて、『あるべき姿』を伝えず、常に外に原因を求めていたんだとわかり…

・別の方の質問でも書きましたが「自分の理想は相手にとっても理想とは限らない」という事だと思います。言わずもがなというハイコンテクスト状態(阿吽の呼吸)でも、やはりしっかり伝えないとわからないこともあります。
・コラムがお役に立ててなによりでございます。ありがとうございます。


8.一般論としてそのとおりですが、「将来トップや幹部になるようなタイプの人は、このあるべき姿を考え続けている時間が、そうでない人と比べても圧倒的に違います。」は時間よりその内容がそうなのでしょうし、なぜ(why)、どのように(how)について具体的な事例を交えて話すと説得力があると思いますね。

・ご指摘ありがとうございます。おっしゃるとおり事例があったほうが分かりやすいので、一つ事例を紹介したいと思います。

 コンサルティングで企業様をお手伝いしていると、5年以上のお付き合いになるところもあり、5年も経つとプロジェクトメンバーの方々も役職が上がっていく方もいらっしゃいます。その中でもお付き合い始めは課長だった方が、プロジェクト終了時には取締役にまでなった事例もあります。

 コンサルタントが入るプロジェクト活動というものは、往々にして、最初はメンバーから嫌がられるものです(そこから盛り上げて参加意欲を高めるのはコンサルタントの腕の見せ所でもあるわけですが)。主な理由は、やはり業務の負担が増えることでしょう。「ただでさえ忙しいのに!」という声が圧倒的に多い印象があります。

 そういう中で始まるプロジェクトですが、初期の参加メンバーの姿勢はいくつかのタイプに分かれます。

※活動日は会合(会議)の日と定義

A.活動日以外もプロジェクトのことを考える。資料は自ら手を挙げてつくる
B.活動日だけプロジェクトのことを考える。資料は頼まれればつくる
C.活動日もしくは当日までに自分が作成するべき資料をつくらない

言うまでもなく、前段で紹介した取締役になった課長というのは、Aのタイプです。ではなぜこの方が、自ら手を挙げて積極的にやっていたのか?それは会社の成長に対する問題意識が高かったからです。
(問題意識=あるべき姿ー現実のギャップを考えている)

この方はこうおっしゃっていました。「この事業は今は伸びてるからいいのですが、このままではいけないような気がしていました。何かやらないといけない。それが何かをいつも考えていたんです」

 この企業では、この方より優秀言われる方はたくさんいらっしゃいましたが、会合の場面で議論をしても、この方の意見が通ることが多くなっていました。考えて議論に臨むのと、その場だけでやりくりしようとする事の違いの大きさです。

考える時間の大切さはこちらのコラムでも書いていますので、ご参照頂ければと思います。

コラム:「プロは考えている時間が違う」


9.こ、これは。QCでやりがちな、課題と問題をごっちゃにしてるやつ!

・当該コラムでは解説していませんが、問題と課題の定義は分けて考えております。

問題=あるべき姿と現状のギャップ
問題点=発生している問題に対して対策を講じる必要のある原因
※問題は一つでも原因を追求していくことで問題点は複数になる
課題=問題点を解決する為にやること、施策


10.序盤の流れはミドル層イメージなのに途中でトップマネジメントの話に変わる所。コラム中にも書かれていますが立場の違いによる視点の違いには言及して欲しかったかなと。

・ご指摘ありがとうございます。問題を考える上での概要を知るという位置づけです。あまり問題構造学に入り込むと理解が難しくなると考え当該コラムでは割愛しておりました。
・この点について別の機会にコラムでご紹介したいと考えておりますが、ポイントだけ記載したいと思います。

・目的軸:何のための問題か
・立場軸:誰にとっての問題か
・空間軸:どこまでの拡がりを見た問題か
・時間軸:いつの時点の問題か

・ご指摘の点は立場軸による問題だと思います。極端な例を出しますが、社員の給料が30万円から80万円に上がる。これは社員にとっては問題ではありませんが、経営者にとってはコスト増という問題になる可能性があります。このように立場・役割によっって問題と定義されるもの、されないものも存在します。


11.三現主義を浸透させるにはどうすればよいでしょうか?

・三現主義が浸透した会社というのは企業風土そのものができあがっている状態だと思います。ですから、手法や理論だけでは一朝一夕には浸透しません。強い覚悟と徹底的にやり通すということが必要なのではないでしょうか。
・おっしゃるとおり、管理層の過剰な介入は組織のバランスを崩してしまいます。私の問題提起としては「机上だけで判断せず」ですので、現場を見ることが少ない管理職へ向けたメッセージと捉えて頂ければと思います。


12.そもそも現実に対して、全員が同じように認識できているのでしょうか?

・おっしゃるとおりです。見える化・可視化の目的の一つには「同じものを共有する」ということもあります。暗黙知の状態では認識を一致させるのは困難です。現実を同じように認識できていないと考えるほうが正解です。できる限り形式知に変えていくことが求められます。


13.これって、絶え間ない改善を実施していくときのとらえ方ですよね。

・ご指摘の通り、会社を持続させるという点においても、企業を成長させるという点においても、改善に終わりはありません。終わりがないという言い方にも語弊があるかもしれませんが、環境へ適応できない限り存続できないという原則から考えれば、改善し続けなければいけないということたどり着くのだと思います。


14.この記事は説明不足だ。とてもコンサルとは思えない。本来の問題とは何かについて思考を深めぬままコンサルをしているのか?


・ご指摘ありがとうございます。文章だけのやり取りは伝えきれない事が多々ございます。しかしながら、私どもは「もっと良くしていく事に貢献したいという思い」と「コンサルタントとしてのプロ意識」を持って、取り組んでおります。
・今後もご依頼頂けるお客様のお役に立てるように、私自身も成長とご指摘のイノベーションをしていく所存でございます。


15.トップは一次情報をすべてつかむことが難しいから、部下に対して一次情報の重要性を説き、集めてこさせるってことですか?それとも困難だけどトップが自分でやるべきってこと?

・コラムの文章の主語に「管理職」を追加しました。ご指摘の通り、トップが一次情報だけを全て集めてまわるというのは現実的ではありませんし、組織として成り立ちません。詳細は「5」の回答をご参照頂ければと思います。


16.「あるべき姿>現実」ばかりではなく、「現実>あるべき姿」の場合もあるのが難しいところだよね~。

・自社の成長や現状に影響を与える因子は内部だけではなく、外部にもあるというご指摘はもっともだと思います。


17.企業であればトップのメッセージが重要ですね。

・おっしゃるとおりです。トップのメッセージは重要です。なんらメッセージを発信していない企業を見かけることは少なくなりましたが、それでも過剰なくらいメッセージは発信したほうがいいでしょう。


18.現実とあるべき姿との間にギャップがありすぎてよく鬱になる。

・「10」で説明しておりますが、時間軸を見なすというのも一つの方法だと思います。あまりに実現に遠い目標だけに目を向けるよりも、マイルストーンで見ていったほうが、精神的に苦しむレベルの苦労は軽減される可能性があります。


19.準拠枠が人それぞれなんで、認識を出来る限り一にして、行動計画や目標設定をする。普遍的な事柄ですね。

・おっしゃる通り認識を出来る限り一つにするということは重要ですし普遍的です。これができるようになるだけで、問題そのものがなくなるという事も多くありました。


20.事象の具体化、言語化って難しいですよね。「あるべき姿」って、人によって違うから、誰にとっての問題(ギャップ)かって重要だと記事を読んで改めて感じました。

・おっしゃる通りですね。誰にとっての?「10」で説明していますが、立場軸の違いは大きいと思います。


21.うちの従業員に自分が考えたように言ってもいいですか??

・ありがとうございます。是非ご活用下さいませ。


22.問題とは、放置すると価値を毀損するものなんだと思います。

・放置すると価値を毀損する。まさにその通りですね。わかっていながら放置する不作為の悪で、機会損失を生んでいる企業も多く見かけます。「問題は知ってるけど言うと仕事が増えるだけだから」。残念です。そういう社風にしないように不断の努力が必要なのでしょう。

23.話それますが、ビジョンを共有出来ない人もたまにいて、こういう人の扱いもまた問題だなと思っています。共有出来ないから排除するのか、異なる意見を得られる異分子として身内に置き続けるのか。。。

・細かいルールや規定についての異論はやむ終えませんが、ビジョン・価値観が共有できない人とは一緒に仕事ができません。目指す方向が違うのでお互いが不幸になるだけです。「誰をバスに乗せるか?」。優秀な人材ということはもちろんですが、ビジョン・価値観に共有できる人を乗せるべきです。向かう先が違うのに同じバスには乗れませんから。説得に説得を重ねて欲しいところです。


たくさんのご意見・ご質問ありがとうございました。

インフレッド株式会社 代表取締役 佐藤直哉